スパイス辞典

甘くて濃厚な香り 釘のような見た目のスパイス「クローブ」とは

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クローブ

クローブ/Clove

クローブは西洋料理や中国料理では、肉料理に欠かせません。甘く濃厚な風味で、コンポートや焼きリンゴにも使われます。

和名は「丁子(ちょうじ)」、ヒンディー語では「Laung(ローング)」、フランス語では「Clou(クルウ)」、中国語では「丁香(ちょうこう)」と呼ばれています。

そんなクローブの産地や特徴、効能効果とは?

さらにクローブを使った焼きリンゴのレシピや、ミックススパイスもご紹介します。

【産地、特徴、効能効果】クローブの全容

【クローブの産地】

クローブの原産地はインドネシアの、モルッカ諸島。

現在の主産地はインドネシア、マレーシア、インド、スリランカといった南アジアです。

【クローブの原料】

クローブの原料は「つぼみ」です。熱帯・亜熱帯地方で5m前後まで生長する、フトモモ科の常緑樹につきます。

つぼみが開花する直前、淡いピンクを帯び始める頃にもっとも香りが強くなります。開花直前のタイミングでつぼみを採取し、日陰で乾燥させたものがスパイスであるクローブです。

和名「丁子」と中国語「丁香」に冠された「丁」は釘の形を表しており、フランス語の「Clou」も釘の意味。

その名前の通り、釘の形が特徴的なスパイスです。

【クローブの香り、味】

クローブは甘く濃厚で、強い香りです。そのため料理に使う際は使いすぎに注意が必要で、ホールで用いる場合は調理後に取り除くほど。

噛むと辛みと舌が痺れる、刺激的な風味が特徴です。

【クローブの効能効果】

クローブの濃厚な香りの主成分は「オイゲノール」といい、防腐作用があります。

また生薬「丁子(ちょうじ)」としても知られており、胃腸を温め体内の冷えを取り去る効能があります。冷えからくる、腹痛などの胃腸障害に効果のある生薬です。

古くから中国やインド、ヨーロッパで胃腸薬として知られ、使われてきました。

【料理での使い方】クローブは肉料理に最適 フルーツやワインにも合う

クローブはその濃厚な風味で、肉の臭み消しとして東洋や西洋の肉料理に欠かせない存在です。

中国料理では豚の角煮、インド料理では肉を使ったカレーの風味づけ、ロシアではボルシチ、西洋料理ではポトフや肉のロースト、と広く活用されています。

使い道は、肉料理だけではありません。

フルーツとも相性抜群で、焼きリンゴやコンポートの材料として愛されています。西洋のホットワインやインドのチャイなど、クローブの香りが引き立つ温かい飲み物でも親しまれているスパイスです。

ここではクローブの香りとリンゴの旨味が引き立つ、焼きリンゴのレシピをご紹介します。

【クローブを使ったレシピ】焼きリンゴの作り方

【材料】

  • リンゴ(酸味がある「紅玉」などの品種がおすすめ) 1個
  • クローブ 3粒
  • バター 5g
  • 砂糖 小さじ1
  • シナモン(パウダー状) ひとつまみ

【作り方】

  1. オーブンを180℃に温めておく
  2. 洗ったリンゴの芯をくりぬく(*この時、底を抜かないように注意)。
  3. 1の穴にクローブ以外の材料を詰める。クローブはリンゴの側面に突き刺す。
  4. アルミホイルでリンゴ全体をぴったりくるむ(*閉じ口は上に)。
  5. 温めておいたオーブンに入れ、180℃で45分焼いて完成。

【クローブが入ったミックススパイス】世界中でブレンドされ活躍している

クローブは中国の代表的なミックススパイスである「五香粉(ウーシャンフェン)」に配合されています。クローブやスターアニス、シナモンなど甘い香りのするスパイスが主な材料です。中華風の風味が特徴で、食材の下味や炒め物に重宝されています。

そのほかフランスの「カトルエピス」、インドの「ガラムマサラ」、モロッコの「ラセラヌー」など、クローブは世界各地のミックススパイスに配合されてきました。


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