ディル/Dill
魚介のマリネやサラダで葉を使うことの多いディルですが、種子もピクルス液の香りづけに利用されています。
ディル(Dill)の由来は、古代ノルウェー語で「和らげる」を意味する「Dilla(ジーラ)」。
ディルの種子を煎じたものには鎮静作用があるとされ、寝つきの悪い赤ん坊をなだめるために用いられたことから名づけられました。
和名は「イノンド」で、スペイン語の呼び名「eneldo(イネルド)」がなまったといわれています。
そんなディルの産地や風味、効能効果とは?
さらにディルの料理での使い方や、風味を生かす調味料レシピもご紹介します。
【産地、特徴、効能効果】ディルの全容
【ディルの産地】
ディルは南アジアや中央ヨーロッパが原産で、現在はヨーロッパ、アジア、北アフリカと、広い範囲で栽培されています。
古代ローマ時代に広まり、中世ヨーロッパでは魔術の材料や、医療に用いられました。
【ディルの原料】
ディルはセリ科で、葉と種子を利用します。
羽のように柔らかな、青みを帯びた鮮やかな葉が特徴で、初夏には白や黄色の、細かな花をつけます。
寒さに強いため、世界各地で栽培できるハーブです。
【ディルの香り、味】
ディルは葉と種で風味が異なります。
【ディルの葉の香り、味】
ディルの葉は甘みのある爽やかな香りで、味には少しの酸味と苦みがあります。
香り、味ともに強いハーブです。
【ディルの種子の香り、味】
ディルの種子はキャラウェイシードに似た、甘さのある爽やかな香りがあります。
噛むと舌に刺激を感じるのが特徴です。
【ディルの効能効果】
ディルの種子は古くから鎮静効果があるとされ、消化不良や腹痛に用いられてきました。
中世ヨーロッパでは傷ついた騎士が、傷口に焼いたディルの種子を貼り付け治療した、ともいわれています。
【ディルの使い方】葉は「魚のハーブ」 種子はピクルスに使う
ディルの葉の使い方
ディルの葉は「魚のハーブ」と呼ばれるほど、魚介類との相性が抜群です。マリネといった生の魚介料理に多用されます。
味に酸味があるため、酢やマヨネーズ、クリームチーズにもよく合い、ソースやドレッシングに用いられてきました。ディルの葉が入った調味料は、肉や野菜料理によく合います。
乾燥するとすぐに風味が失われるので、スープなどの熱い料理に加えるときは注意が必要です。調理の最後に加えるとよいでしょう。
ディルの種の使い方
ピクルスの香りづけや、カレー粉の材料として使われます。
赤身の魚や鶏肉の下味、隠し味に利用すると、味に深みが出るのでおすすめです。
ディルの葉と種を使ったビネガーの作り方
中でも、ディルの葉と種子は共通して、酢との相性がよいスパイスです。酢に漬け込むことで酢に香りが移り、魚介のマリネやサラダにかけるだけで簡単にディルの風味を加えることができます。
【材料】
- 酢(穀物酢、ビネガーなど) 200ml
- ディル(生) 4本
- ディル(種) 小さじ1
- コショウ 10粒
【作り方】
- 保存瓶を煮沸消毒しておく。
- 保存瓶にディルとコショウを入れ、酢を注いで蓋をする。
- 日の当たらない涼しい場所に2週間ねかせ、ディル(生)を取り除いたら完成。
ディルの葉を使ったヨーグルトソースの作り方
ディルの葉は、酸味のあるヨーグルトとの相性もよいハーブです。
ご紹介するヨーグルトソースはさっぱりとした味わいなので、こってりとした肉料理や揚げ物のソースとして使ってください。
【材料】
ヨーグルト(無糖) 250g
ディル(葉) 大さじ1
バジル 大さじ1
塩 ふたつまみ
【作り方】
- ヨーグルトは1時間以上水切りしておく。
- ディル、バジルをみじん切りにする。
1、2と塩をよく混ぜたら完成。