シナモン(カシア)/Cinnamon(Cassia)
アップルパイにシナモンロール、焼きリンゴやチャイに欠かせないスパイスといえば、シナモン。
古代エジプトではミイラ作りに使われ、現代でも我々の食生活に根付いているスパイスのひとつです。
日本では「にっき」「肉桂(にっけい)」とも呼ばれ、東洋医学では生薬「桂皮(けいひ)」として、葛根湯に配合されています。インドでは「Darcini(ダルチニ)」として、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダに用いられてきました。
そんなシナモンの産地や特徴、効能効果とは?
さらに料理での使い方や、シナモンが配合されているミックススパイスについてもご紹介します。
【産地、特徴、効能効果】シナモンの全容
【シナモンの産地】
シナモンの原産地はインド、スリランカ、ベトナムといった南アジアです。
現在も、インドをはじめとする南アジアで主に栽培されています。
【シナモンの原料】
シナモンの原料は「樹皮」です。10mまで生長する、クスノキ科の樹木から採れます。
シナモンには種類が多く、代表的なものが「シナモン(セイロンシナモン)」と「カシア」です。
セイロンシナモンは主にスリランカで採れ、薄い皮が何重にも重なった形状をしています。カシアはベトナムや中国で栽培されており、肉厚な樹皮が特徴です。
【シナモンの香り、味】
シナモンは清涼感のある、甘くてエキゾチックな香りが共通の特徴です。
セイロンシナモンとカシアは、香りにも違いがあります。セイロンシナモンは柑橘を思わせる爽やかで上品な香り、カシアは甘く濃厚な香りです。
味はわずかに苦みと甘みがあり、セイロンシナモンは繊細、カシアは野性味があります。
【シナモンの効能効果】
シナモンには胃腸の調子を整えたり、手足の冷えを改善するといった効能があります。
シナモンは生薬「桂皮」として古くから用いられてきました。
身体を内部から強く温め、停滞している血や水分、気力を巡らせ発散させる働きがあります。
漢方薬では葛根湯以外にも、20種類以上に配合されている名選手です。
【シナモンの使い方】甘い食材や肉料理との相性がいい 温かいドリンクに加えて
シナモンは中国では豚の角煮に、イギリスではアップルパイに、日本ではスイートポテトにと、世界各地で用いられています。その組み合わせも、さまざま。
メキシコでは「カフェ・デ・オーヤ」というドリンクに風味づけとして使われています。鍋で煮出したコーヒーにシナモンを入れた、砂糖たっぷりのドリンクです。
シナモンはかぼちゃ、さつまいも、お菓子の甘さを引き立てます。また肉料理との相性も良く、ぶた肉料理、とり肉料理、ひき肉料理の風味づけにも用いられてきました。
温かい飲み物に加えれば香りを楽しめ、身体を温める効果もアップします。ホットミルクや紅茶、コーヒーやココアにひと振りすれば、ワンランク上のドリンクに早変わり。
【シナモン配合のミックススパイス】中国、インド、フランス、モロッコのミックススパイスにブレンドされている
シナモンが配合されているミックススパイスといえば「シナモンシュガー」を思い浮かべるでしょう。
そのほかにも世界各地のミックススパイスの柱として、大活躍しているのです。
中国では「五香粉(うーしゃんふぇん)」、インドでは「ガラムマサラ」、フランスでは「カトルエピス」と、伝統的なミックススパイスの柱としてブレンドされています。
モロッコでは「ラセラヌー」という、20種類以上のスパイスが配合されたミックススパイスの柱です。 羊肉などの臭みのある肉料理や、米料理によく用いられています。